モーツァルト; 交響曲35番”ハフナー”、ピアノ協奏曲25番
ベートーヴェン; 交響曲5番
指揮; ヤープ・ヴァン・ズウェーデン
ピアノ; イゴール・ロマ
先週に引き続いてまたズウェーデン指揮の香港フィルを聴く。先週のプロとは違い、ある意味とてもオーソドックスなプログラム。しかし結果は・・・、こんなベートーヴェン聴いたことないぞ!とまたまた度肝を抜かれました。弦にはあまりビブラートをかけささず、かといってピリオド奏法ってこともないんだけど、ノンビブラートだと、一音一音がナマナマしいし、アンサンブルが良いか悪いか、すぐわかっちゃいますね。そして旋律の流れや、フレーズの繋がりがノンビブラートだと、ストレートに伝わってくる。こんな演奏方法に加えて、ズウェーデンが音楽の長短・強弱にこれでもか、っていうほどメリハリをつけてくるから、今迄何度聴いたかわからないベートーヴェンの5番、ズウェーデンの演奏で何か新しく生まれ変わったというか、違う曲をきいているような錯覚に陥った。
この演奏会、彼は自分が首席指揮者・芸術監督を務めるオランダ放送フィル(前任者はエド・デ・ワールト)からコンサートマスターを招聘した。実は先週のコンサートではテンシュテット時代のロンドンフィルのコンマスだったデビッド・ノーランがゲストコンサートマスターでした。なんでこういうことが出来るかと言うと、信じられないと思いますが、香港フィルの2005/2006のシーズン、オケにはコンマスがいません。昨シーズン突如韓国人コンマスが退団した後(契約中にも関わらず別のオケと契約をしたため)、適切なコンマスが見いだせなかったので、今シーズンは全てコンマスをどこかから招聘して運営するという、ちょっと考えられない事態となっています。
香港フィルの演奏会、ビッグな共演者(ヨーヨーマとか)とのコンサート以外、決して満員というか当日券無し、ってことは起こらないのですが、今回のコンサート、そんな特別なことは何もないのに、満員で当日券の販売がありませんでした。それほど有名でない指揮者とピアノソリストなのに、こういうことになったかと言うと、やはり先週のショスタコヴィッチが強烈だったので、人づてにチケットを買い求める人が多くいたのでしょう。
2週連続してズウェーデンの指揮を楽しみましたが、本当に凄い指揮者が登場したものですね。何かクライバーとアーノンクールが合体したような指揮者です。これからズウェーデンから目が(耳が)離せません!